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2013年9月30日月曜日

「新しい宣教の展開をめざして」2013年るうてる法人会連合総会、開催される

 

八月二七日から二八日にかけて、日本福音ルーテル東京教会宣教百年記念会堂を会場にして、『第10回るうてる法人会連合総会』が開催されました。2002年に、熊本に集められた教会、学校、社会福祉、幼稚園保育園の働きを託された人々が集まった場で「るうてる法人会連合設立宣言」が出されました。これが第一回の連合会総会でありますが、第10回目となる本総会は、その宣言文から引用した「新しい宣教の展開に向かうために」が主題に掲げられました。
 総会は、連合会会長である教会の立山忠浩議長による開会礼拝から幕を開けました。説教では「聖書を読むと、使徒たちは出かけて行っては、ひとつの場所に帰ってきた様子が描かれているが、戻った使徒たちは同労者として互いに今日の様子を報告し合い、議論もしただろう。或いは励まし合い、祈りあったに違いない。そしてまた、新しくされて出かけて行った。法人会連合は、主の御前で、このような場ではないか」と明確なメッセージが述べられました。

 次に、藤藪庸一(ふじやぶよういち)牧師を基調講演にお迎えしました。(写真右)「自殺の名所」と呼ばれる、和歌山県白浜市の三段壁にほど近い「白浜バプテスト基督教会」の牧師であり、自殺防止から自立支援まで取り組むNPO法人代表も務める藤藪牧師は、この活動を通じて問われているのは、まず「良心と覚悟」であると語られました。「昨年、NHK番組プロフェッショナルに出演された後日談」、「現代に生きて働かれる神様を証明する業と自覚している」、「立ち直っていく人に共通した要素は、時間と場所と人の助けであった」等、体験に裏打ちされた言葉が力強く迫ってくる講演でした。

 引き続いて、シンポジウムと発題のプログラムでは、主題を踏まえ、法人格の違いを超えて「新しい宣教」を共に担うために共有すべき事柄や新しい宣教とは何かについて、高井保雄牧師の司会により討議がなされました。

 石居基夫氏(ルーテル学院大学教授)は神学校が牧師とキリスト教指導者の養成という出発から、心と福祉と魂の高度な専門家養成、来年からの他者支援の専門職養成にまで拡がってきた教育の展開こそが新しさであり、多様な宣教課題を意識したミッションの実践そのものであったと述べられました。更に、学校がキリスト教精神に基づき、人を愛し、他者を支援する人材育成の使命を自覚し、実現してゆく目標実現には、教育者の確保・育成が極めて重要と指摘されました。

 キリスト教社会福祉の実践からは高橋睦氏(社会福祉法人東京老人ホーム施設統括長)が、使命に基づく方針として、高齢者施設での新しい取り組みと位置付ける看取りケアの実践報告をされました。現在の医療機関との関係を見据えて、施設が、終の棲家となるための準備に取り掛かって見えてきている、死についての働き人の理解、利用者も含めた霊的要望への応えといった課題に関して、具体的に教会と協働する様子と今後の可能性等について語られました。

 白川道生氏(ルーテル教会事務局長)は、この連合会では教会+教会をより広げて、宣教は伝道(教会)+教育(学校、幼保)+奉仕(社会福祉)=「宣教共同体」と宣言したと説明の上で、我々は創業の祈りからここに至るまで貫かれた一道に加えられており、クリスチャン、ノンクリスチャンを超えて集められ、選ばれた働き人ではないか?また託された働きに応える活力は、感謝と良質の誇りではないかと語りました。
 発題では、市川一宏氏(ルーテル学院大学学長)は私たちに求められている事柄を列挙した後、これに取り組んできたルーテルグループの足跡を紹介しました。現状の急務は働き人の養成と括り、これを進めるために連合会に研修チームを設置して研修と個別支援を推進できる専任チーム組織の提言がなされました。滝田浩之氏(ルーテル大阪教会牧師・連合会組織検討委員会長)は連合会の構成員を拡げる必然を指摘し、連合に加わる中で、奨学金等具体的な制度利用により相互支援が可能となる実益ある態勢づくりへの取り組みを提言されました。

 中島康文氏(社会福祉協会会長)は、法人会連合が目指すは、法人の違いはあっても、それが制約に作用せず、各々が主体的に役割を果たしながら、目標を共有し共に力を合わせて活動する「協働」ではないか? この点で、より新しく作り上げてゆくのは「宣教協働体」になるだろうと用語使用と組織定義に関する提言がありました。
 終了後の夕食は、東京教会の集会室が懇親会の会場に変わり、徳野昌博牧師の司会で、68名を数えた参加者が互いに自己紹介をして、和やかに交流が深められました。

 二日目は、東日本大震災のルーテル教会救援となりびとへの派遣牧師である野口勝彦牧師により、スライドを交えて、現地報告と支援の取り組みを通した証しが語られるディボーションをもって、始まりました。
 この後、参加者は6グループに分かれて、それぞれの持ち場での働きを踏まえながら、昨日からの投げかけについて、またこれからに向けた総会提言などを分科会に分かれて話し合い、分団の発言趣旨は再度全体に戻り、相互に発表、話題共有がなされました。
 
 総会協議では、各法人会及び連合会諸委員会の活動報告がなされ、相互理解を深めた後、今後の活動方針が協議されました。まずは、今後8月の最終週には法人会連合による何らかの企画が実施される前提をルーテルグループで共有する基本合意がなされ、2014年は「研修会」を実施、開催地は熊本とする決定がなされました。更に、本総会での発題を通した提言と、各委員会及び分科会で上がった要望事項の実現に向けて、各法人会・諸委員会で協働する同意が出席者同士で確認されました。

 二日間にわたった相互報告、討議、励まし合いと祈りは、終わりに、青田勇副議長による閉会礼拝で祝福を受け「宣教共同体」として派遣され、それぞれの宣教地域に、新たに出かけて行きました。
  事務局長 白川道生